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2018/10/01
インタビュー記事

【POL投資家対談 第三弾】技術系ベンチャー投資のVCがITベンチャーのPOLに出資した理由

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投資家×起業家対談 第三弾!今回は、大学発・技術系ベンチャーに投資するBeyond Next Venturesのマネージングパートナー伊藤毅さんをお招きして、POL代表の加茂と共に「技術系ベンチャー投資のVCがITベンチャーのPOLに出資した理由」をテーマにお話しいただきました!

今回対談する投資家のご紹介

伊藤毅2003年東京工業大学大学院 理工学研究科化学工学専攻修了後、㈱ジャフコ入社。大学発の技術シーズ段階からの事業化支援および投資活動に関して多数の実績と経験を有する。2014年8月にBeyond Next Ventures株式会社を創業。2015年2月に1号ファンド(ファンド総額55億円)を組成し、主に大学発・技術系ベンチャーのシードステージからのインキュベーション投資事業を行う独立系ベンチャーキャピタルとして活動。科学技術振興機構の大学発新産業創出プログラム事業プロモーターや国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)認定VCを務める。

Beyond Next Venturesとは?

大学発・技術系ベンチャーのシードステージからのインキュベーション投資事業を行うベンチャーキャピタルです。収益化までの資金負担が大きな大学発・技術系ベンチャーに対して継続的な支援をしています。創業前の段階から大学発ベンチャーの課題を解決していくために、アカデミアシーズに特化したアクセラレーションプログラムBRAVEも運営しています。
Beyond Next Venturesコーポレートサイト:http://beyondnextventures.com/
アクセラレーションプログラムBRAVE:http://brave.team/

起業に興味がありジャフコへ。産学連携チーム異動当初は「飛ばされた」と思った

加茂:伊藤さんは新卒からベンチャーキャピタル(以下VC)でしたよね。理系でVCは珍しくないですか?

伊藤:珍しかったですね。当時の11人の同期の新卒社員のうち理系・大学院卒は僕一人でした。大学では化学工学を専攻していて、化学工場のプラントとか工場のシステムの研究をしていましたが、自分は研究よりビジネスに関心があり、『自分で起業して何かしたい』と途中から思い始めたんですよね。まずは色々なベンチャービジネスを学ぼうと、卒業後はVCのジャフコに入社しました。

加茂:入社当初から産学連携チームに配属されて投資されていたんですか?

伊藤:いえ入社したあと、最初は主にITベンチャーに投資する部門に配属されました。新卒社員はまだスキルがないので、飛び込み訪問からテレアポ、メールコンタクトまでとにかく色々な方法で多数の経営者に会うということから始めました。

多くのベンチャーに実際にお会いする中でビジネスを学び、先輩からもアドバイスを貰いながら、ベンチャーの見極め、サポートなどの能力を身に付けていきました。そして、徐々に投資判断の感覚も掴めて、投資先も増え、比較的順調と思い始めた入社5年目に、突如産学連携チームに異動になりました。当時は、良い投資もできていましたし、また自分の部署が社内で花形だと思っていたので、側で見て大変そうだなと思っていた産学連携チームに、最初は飛ばされたか、と思いました。

ジャフコはファンドサイズが大きいのでシードステージからレーターステージまで幅広く投資していて、その中で、産学連携チームはシードやインキュベーションを行うチームという位置づけでした。僕がシードステージへの投資を好んでいて、役員や上司にも「インキュベーションがやりたい」とよく言っていたので、「じゃあ、伊藤に産学連携投資をやらせるか」ということになったのかな、と思います。当時ジャフコで数少ない理系院卒だったからかもしれませんね。

当時の上司から聞いた話によると、産学連携チームがなかなか目立った成果を出せずにいたので、『伊藤にやらせるか、チームを潰すか』という議論を社内でしていたみたいで。

加茂:ちょうどバイオベンチャーブームが落ち着いた頃ですかね?

伊藤:そうですね。しかもリーマンショックの影響でベンチャー投資が冷え込んでいるときでした。さらに、バイオベンチャーブームも終わってその領域に投資している会社も少なくなっていました。そんな状況の中、産学連携チームで投資をすることになったんですけど、投資判断の基準が全く分からなくて。理系出身だけど、それぞれの技術系ベンチャーの技術の詳細まではその研究者以上に理解している訳でもなく、また、当時は大学発ベンチャーの社長が大学の研究者であることも多く、必ずしも”経営者”としての能力が高い訳ではないので経営者としての評価も難しく、はじめは苦戦しましたね。

それでも東京大学エッジキャピタル(UTEC)のような、産学連携分野の有望なベンチャーに果敢にリスクを取って投資して実績を上げつつあったVCもあって、それを見て刺激を受け、出来るか分からないけど、自分もやりたいと思ったんですよね。

社内には、入社して投資だけして比較的短期間で辞めてしまう社員もいて、それは無責任だなと、自分はジャフコにしっかりとリターンを出すまで去らないと決めていました。全社員に向けてチームの方針を発表する場で、統計データを引っ張り出して「大学発ベンチャーの市場が伸びています」とか、当時まだ投資もしていなかったSpiber等を例に「こんなに有望な会社があるんです」と発表するなどして、自分自身を鼓舞しながら、なんとか産学連携チームで成果を出すんだという思いでやっていました。そうした中、幾つか投資先の大学発ベンチャーで上場した先も出ましたが、その中でも自分なりに苦労して投資を進め、関与したサイバーダインが上場したことで、自分の信念が正しかったんだという自信につながり、また会社に大きなリターンをもたらす事もでき、一つの区切りになりました。

加茂:大学発ベンチャーの判断基準や投資先への支援内容ってどんな感じなんですか?

伊藤:入社当初に手掛けていたITベンチャー投資では、先輩から「社長、経営者を見ろ」と言われ続けてきました。色々と試行錯誤しましたが、結局は同じで、見るところは「人だな」と思いました。そこは変わらないと思います。リーダーシップを発揮する人は誰だ、とか、経営チームはどうだ、とか。

Beyond Next Venturesでは投資先に社外取締役として経営会議に参加して、これまでの経験を活かし投資先の意思決定のサポートをしたり、また技術系ベンチャーは継続的に大きな資金調達をしないといけない会社が多いため、シード段階から自分たちの継続的な追加投資も含め、資本政策、資金調達のサポートを手がけています。加えて特に意識して力を入れているのが人材採用のサポートです。Beyond Next Venturesには人材採用のプロが社内にいるので、これまでの経験と実績に加え、投資先の人材採用サポートが充実している事が強みです。

使われていない技術をもっと社会へ。大学研究の成果はまだまだ眠っている

加茂:ジャフコ時代から現在まで大学研究者との関わりが多いと思いますが、産学連携の状況は今どのような感じですか?

伊藤:日本の大学研究の成果はまだ十分に世の中に還元されていない状態だと思っています。大学での研究費の約半分は国民から集めた税金から捻出されているけど、社会のために活用しきれていない部分がまだあるんじゃないかと。もちろん大学の「基礎研究」や「知の探求」も社会における大事な役割ですが、現状では、「社会実装」と「知の探求」のバランスが良くない。

加茂:バランスを良くしていくためには何が必要だと思いますか?

伊藤:もちろんお金も必要ですが、何よりも社会実装を実現する人がまだまだ少ない、と思います。お金は我々のような民間の投資会社が増えたことで供給量も増えてきていますが、大学の技術をビジネス化する人材は急には増えません。でも、大学の先生に「経営者になってください」というのも違うと思っていて。先生にはその技術を更に磨くための研究に集中して頂き、そのため別途、経営を任せる人材が必要ですが、そういう人材がまだ足りない。ただ、大学の先生にもビジネスの方も少し理解して頂く必要もあります。ビジネスと研究のフィールドは別世界ですが、同じチームとしてやっていくためには、お互いを理解することが大事です。その間を埋める役割が僕達VCなのかなと思っています。

「研究をもっと進める手段の一つ」ということがもっと認知されれば、起業という選択をする研究者も増えるはず

伊藤:大学の研究者にベンチャーや起業に関する情報が行き渡るようになってきて、特に若い研究者の間では『ベンチャー化する』ということが研究費以外の資金確保の手段として選択肢に入るようになってきました。そういう方法もあることがより広く認知されれば、そういう選択肢を目指す大学の研究者も増えると思います。

加茂:そうなんですね。実際大学の先生は起業に対してどのような印象を持っているんですかね?

伊藤:「よく分からない」という方が多いと思います。ですが、「研究を加速する手段の一つ」「資金調達の方法として起業もあり」と合理的に考えて良い手段であると思えば、実行する人も増えると思います。今はまだまだ情報が行き渡っていないので、今よりも更にペプチドリーム、ユーグレナやサイバーダインのような成功した大学発ベンチャー企業の認知が広がれば、起業という選択をする大学の研究者ももっと増えてくると思います。

大学のラボと接点を持てる企業はそうそうない。「POLならアカデミアを変えられそう」という期待

加茂:通常、技術系ベンチャーにしか投資しないBeyond Next Venturesが、POLに投資してくださった理由や、POLに期待することを教えていただけますか?

伊藤:研究とビジネスの両方が分かるハイブリッドな人材が増えるという点で、POLに大いに期待しています。理系の学生って、一般的に研究に没頭して自分のキャリアを深く考えないまま会社を選択してしまっていると思っていて、僕も東工大にいて周りに優秀な学生が沢山いたんですけど、みんな極めて限られた選択肢の中から自分のキャリアを選んでしまっているように感じていました。でも、そういう学生って普通に過ごしていると研究以外の情報を得る機会が少ないんですよね。それってもったいないなと思うんです。

そのような理系の学生に対してPOLは多様なキャリアの可能性を提供する存在になると思っています。「あなたのバックグラウンドなら、こういう道もあるんですよ」というような、より良い機会に出会える環境を作ってあげて欲しいと思っています。

加茂:完全に同意ですね。もともとLabBaseは僕の先輩のそういった状況に着想を得て作りました。

伊藤:そうですね。文系就職と言うか、研究ではなくビジネスの道に進む人ももっと増えてもいいと思っています。イノベーション創出のためには技術もビジネスも理解できるハイブリッドな人の存在が重要になってきます。LabBaseからそういう人材が沢山輩出されるかもしれないですよね。

加茂:一度文系就職した後、そこで培ったビジネス視点を生かして技術系ベンチャー等に転職して活躍する、という例もこれからもっと増えていいんじゃないかと思ってます。また、アカデミアの人材以外の課題もどんどん解決していきたいと思っていて、研究関連領域をテクノロジーで革新する『LabTech構想』の具体化に向けて動いています。

伊藤:加茂さんとの最初のミーティングで、『大学研究室の課題を解決する』という構想を聞かせてもらって、POLならできそうだなと思いました。大学のラボと接点を作ることができている会社はそんなに多く無いと思います。やりたくてもうまくいかないんですよね。大学のラボを良くしていくためのビジネスは、実際にラボとの接点を持っていないとできないので、ラボとの接点をたくさん持っているPOLなら、研究室に対するサービスも実現できそうだなと思いました。そこに、企業をうまくつなぎこんでいこうとしているところにも期待しています。『大学研究室との接点』をうまく活かして、アカデミアの技術を社会に開放していく役割を担えると思います。POLは理系人材、理系研究室、企業のいい媒介役になれそうですよね。期待しています!

【POL代表×投資家対談】は、POLに出資してくださっている投資家さんと、POL代表取締役CEOの加茂が様々なテーマについて対談する企画です!(話を聞いてみたいテーマがあればこっそりメンバーにメッセージしてくださいね♪)第四弾も近日公開予定なので、お楽しみに!


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