押し出し加工の基本 │ 種類や仕組み、発生する欠点やその対策を解説

製造業

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1.押し出し加工の仕組みと加工工程

押し出し加工とは、塑性加工方式の一つであり、被加工材を加熱し、工具で加圧しながらダイと呼ばれる穴を通過させることで目的の形状に成形します。押し出しの形状は、ダイの形状によって筒状や異形などさまざまな選択ができます。 押し出し加工では、以下のような工具を用いて加工を行います。

• ラム:加圧する際に用いる工具で、パンチとも呼ばれます。 • コンテナ:被加工材を装填するための容器。 • ダイ:被加工材を目的の形に成形するための金型。ダイスとも呼ばれます。

(1)押し出し加工の特徴

①金属を大きく変形加工できる 被加工材の断面積(S)を加工後の製品断面積(S’)で割った「押出し比=S/S’」で表すと、加工温度にもよりますが、アルミニウム系の加工で30〜500程度、スチール材でも60程度までといった高い変形が実現可能です。

②異種材料を混合して加工できる 複数の金属を組み合わせて、層を分離させた状態で押出すことも可能です。また、金属粉末も被加工材として使用できるため、脆い材料も加工成形できます。

③加工品の強度なども高められる 押し出し方向に結晶を延伸しながら結合させるため、加工品の機械性能を高めることもできます。

④多品種生産時のコストを下げやすい 加工品の形状はダイのスリット形状によって決まるため、基本的にはダイの交換のみでさまざまな製品を加工できます。

(2)押し出し加工の種類

押し出し加工は、被加工材(ビレット)の押し出し方向によって「前方押し出し(直接押し出し)」と「後方押し出し(関節押し出し)」の大きく2つに分類されており、ラムで加圧する対象がそれぞれ異なります。他にも、液圧押し出しやコンフォーム押し出しといった加工方法もあります。

①前方押し出し(直接押し出し) 被加工材を、加圧工具であるラムの進行方向に押し出して成形する加工方法です。コンテナに装填した被加工材を、ラムで直接加圧しながらダイのスリットから押し出して加工します。 工具保護の目的も兼ねて、ラムとビレットの間にダミーブロックを設置するのが一般的です。オーソドックスな加工法であり、主流の押し出し加工方式となっています。

②後方押し出し(関接押し出し) 被加工材を、加圧工具であるラムの進行方向と反対側に押し出して成形する加工方法です。被加工材をコンテナに装填してダイを設置した後、ラムでダイを押し込みながら、ダイで直接被加工材を加圧しながら押し出し加工します。

③液圧押し出し コンテナに液体を充填させた状態で、ラムで加圧した際に生じる水圧で押し出し加工を行う方式です。被加工材は液体と触れているため摩擦が生じず、加工温度を低く抑えることが可能ですが、液漏れに注意が必要です。

④コンフォーム押し出し ビレットを溝がついている回転するホイールに設置し、シューに接しながら押し込まれていくことで摩擦力と塑性変形によって加熱され、ダイから加工品が成形されます。製品にならない分は、アバットメントから排出されます。 コンテナを使用しておらず、ビレットを供給し続けられるため、押し出し加工でありながら連続生産が可能です。

2.押し出し加工を行う上でのコツや注意点

(1)デッドメタルの発生

押し出し加工では、コンテナの角部分にどれだけラムで加圧しても流動しない「デッドメタル」ができます。デッドメタルは以下のような場合に特に発生しやすくなります。 • コンテナ・ダイとビレットの摩擦が大きい • ダイの孔径が小さく押出し比が大きい • ダイの角度が大きい デッドメタルの発生を少なくするには、材料選定はもちろん、ダイの形状改善や潤滑性の向上などが必要となります。

(2)加工品質トラブル

①表面キズ(テアリング) ダイの表面にキズなどによる凸部があると、加工品の表面に削りキズがつきます。ダイの研磨による改善が第一ですが、押し出し速度や加工温度調整などでキズの強度を抑えるという方法もあります。 ②内部亀裂(シェブロンクラック) 押し出し加工時には、加工品の表面とダイとの間で摩擦が生じますが内部は流動性が高いため「せん断歪み」が発生します。そのため、製品の内部に円すい状のキズ「シェブロンクラック」が発生します。被加工材に合わせて、押し出し速度や加工温度などの機械条件を適切に調整する必要があります。

(3)押し出し加工の注意点

①押し出し機械の各部に高圧がかかる 押し出し加工時には、コンテナやダイ、ラムなどの工具に高い圧力がかかります。条件によっては、単位面積あたり1,000MPaを超える負荷がかかるので、工具に使用する材料にも高い強度が必要になります。

②ビレットの材質によっては潤滑剤が必要 押し出し加工を行う際には、ダイと被加工材の表面で高い摩擦がかかります。摩擦力が大きいと、キズや内部亀裂の発生要因にもなるため、ビレットの材料によっては潤滑剤を使用しなければいけません。 アルミや鉛などの加工には潤滑剤は基本的に使用しませんが、銅の加工には潤滑油などが必要です。また、高温での押し出しが必要なスチール材では、ガラス粉末を潤滑剤として使用します。

③押し出し加工速度に限界がある 押し出し加工を行う際には、ビレットの材質や押出し比、ダイの形状によって必要な加圧力と加工温度が変わります。そのため、押し出し加工の速度も加工品によって限定されるため、事前に品質を維持できる限界速度を見極めた上で、目標歩留まりを設定しなければなりません。

3.押し出し加工機の主要メーカ3選

押し出し加工機は、加熱機構も必要な直接・間接押し出しや液圧押し出し、シューとホイールを使用するコンフォーム押し出しなどの加工方式で異なります。ここでは、押し出し加工機の取扱いメーカと代表的な製品を紹介します。

(1)株式会社石川時鐵工所 画像引用:株式会社石川時鐵工所ホームページ 産業機械の総合メーカで、昭和30年にセラミック用真空押出機を開発しています。 同社の真空押出成形機「EPシリーズ」は、スクリュー連続押し出しでは難しいとされているハニカム構造の生産も可能です。また、押し出し方向も稼働式のため変更でき、垂直から水平押し出しまで対応しています。

(2)宮崎鉄工株式会社 画像引用:宮崎鉄工株式会社ホームページ 50年以上に渡って押出成形機の製造・販売を行っている宮崎鉄工株式会社は、日本だけでなくアジア、ヨーロッパ、アメリカなど世界中に押出機を納入しています。 ベーシックモデルの「FM・MVタイプ」は、スクリュー連続送り出しによって押し出し加工を行う真空押出成形機で、卓上型や「FM-300型」などの大型生産機もあります。

(3)BWE 画像引用:株式会社ケー・ブラッシュ商会ホームページ BWE社は、1969年から冷間圧接器を製造販売しているイギリスの押出し機メーカ。コンフォーム押し出し機は、イギリスで発明されBWE社が初めて開発・製造のライセンスを授与されています。 日本では、株式会社ケー・ブラッシュ商会が同社のコンフォーム押出し機を取り扱っています。

4.押出成形機の導入におすすめのメーカ3選

金属加工には、今回紹介した押し出し加工のようなさまざまな加工方式があり、目的の成形品に合わせた加工機の選定が不可欠です。 押し出し加工をはじめとした金属加工機の導入や自動化に困っている場合は、金属加工機の選定から、生産ラインの設計・構築までをサポートしているメーカに問い合わせることをおすすめします。

(1)日本サポートシステム株式会社 日本サポートシステム株式会社は、取引実績400社以上、製造実績10,000台以上を誇る関東最大級のロボットシステムインテグレータです。工場設備・機械の設計・製造・納品を一貫して行っています。 • 住所:茨城県土浦市卸町2丁目13-3 • TEL:050-1743-0310 • URL:https://jss1.jp/

(2)高丸工業株式会社 高丸工業株式会社は、創業1963年の産業用ロボットシステムインテグレータです。産業用ロボット各メーカの情報に精通しており、顧客の細かい悩みに対応。溶接やハンドリング、その他各種機械加工用ロボットシステム導入実績もあります。 • 住所:兵庫県西宮市朝凪町1-50JFE西宮工場内 • TEL:0798-38-9200 • URL:https://www.takamaru.com/

(3)株式会社トガシ技研 1988年創業の株式会社トガシ技研。検査装置やバイオ・半導体関連まで幅広い設備導入に対応しているメーカです。溶接治具や圧入機、自動組立機など、機械加工機の設計から制作まで実施。事業所は本社を含め4ヵ所あり、中国事業所も設立されています。 • 住所:山形県鶴岡市丸岡字町の内309-1 • TEL:0235-57-4888 • URL:http://www.togashig.co.jp/